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頼りない電球のついた脱衣場にはやはり何者の衣類もありませんでした。
恐る恐る脱衣場に入り服を脱ぎ始める私。
と、その時でした。
浴場の方で聞こえる水の跳ねる音。明らかに誰かが水でパシャパシャさせる音が耳に入り、その手を止めます。
誰もいない筈。しかし音が聞こえる。
私の中で底知れぬ不安感が沸き上がって来ました。
脱いだ物を着なおし、恐る恐る浴場の中を覗いてみます。
しかし狭く開いたスライド式の扉から覗く限り何も見えません。
依然として水がはねる音は聞こえますが、これは首を突っ込んで見るでもしないと死角になって見えないようです。
━━やめよう。
すっかり怖じ気づいてしまった私はお風呂を諦める事にしました。
もう一刻も早く部屋に戻りたい。そう思いゆっくりと顔を離して、刹那見てしまいました。
私が覗く扉の真正面。そこに付けられた鏡に反射した私の後ろから覗き込むようにして見つめるやけに無表情で蒼白な男の人の顔を。
つまり私の後ろから私を見つめる誰かを。
一瞬手が止まり、そしてバッと振り返ります。
しかしそこにはただ扇風機が佇むだけで誰も居ません。
いよいよ恐怖した私はダッシュで自室に向かいました。
その後もいろいろ噂が立ちましたが、寮たてる時にお祓いとかしなかったのかなぁ。

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