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仙石線沿いのアパ-ト
951 本当にあった怖い名無し sage 04/10/23 21:27:15 ID:aXzjaNr9
学生時代に仙石線沿いのアパ-トを借りた事があります。
同期の奴と二人で同居をしていた僕は、ここで一生忘れられない
経験をしました・・。
校内の規則に依る一年の学生寮住まいを終えて、晴れてアパ-ト
に移ったばかりの、忘れる筈もない四月十日の晩の出来事です。
夜中に、妙な夢を見て目が覚めました。

夢の中で眠る我々二人を、ベランダのカ-テンの陰から
ジッと見ている者がいるのです。
薄暗くて顔は見えませんがその姿はハッキリとわかり、僕は
布団の中で呼吸を整えました。
「こんの野郎・・とっ捕まえてやる・・」
不思議と恐怖感はなく(夢の中だからか)、機を狙ってとび起き
「誰だ!」
と叫ぶとカ-テンを払いのけるように開けました。





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勢いよくカ-テンを開けようとした僕は、ベランダに
無造作に並べておいたペットボトルを蹴ってしまった・・・
「カラカラ-ン!!」
二階ある我々の部屋のベランダから落ちたボトルが、アスファルト
の上で跳ねた・・
思わず、その音の方向を見ると黒い人影が走りゆく姿が見えた。
「逃げられたか・・・」

そう思ったところで目が覚めた・・・
隣の布団を見ると、同居人が間抜けな顔で眠り呆けていた。
変な夢を見たものだなと思いながら時計を見ると、寝付いて
まだ一時間半、まだまだ充分寝直す時間はあった。
さあまたグッスリ寝ようと思ったその時・・・
     ・・・恐怖との対面の瞬間は突然やってきたんです。

明らかに誰かから見られている、それがハッキリとわかるんです。
それは視線を感じるとかいうレベルではなく、例えて言えば
生命を維持しようとする僕の本能に、直接触れられたような恐怖・・
視覚でも聴覚でも感じ取れないものを感じてしまった瞬間でした。
二十歳の誕生日を向かえたばかりの僕でしたが、それまで
霊感など感じた事もなく過ごして来た、それがこの日この瞬間に
いっきに開花したんです。
(事実この晩以来・・僕は様々な霊体験をする様に・・)
搾りあげられるような恐怖に、鼻の奥から目頭にかけて
突き抜けるような感覚が走り、顎は僕の意志ではない力でグラグラ
ガクガク揺れました。
「うぉあぁあああ-」
その瞬間は理性などなかったのでしょうが、無意識に隣で
           寝ている同居人を揺り起こしていました。

おい、起きろ、おい!」
何も知らずに寝入っていた同期はキョトンとして
「ん?どした・・・」
この時程、誰かと言葉を交わす事に安らぎを感じた事は
今まで無かった事だと思います。
ひと言同期の声を聞いただけで僕の恐怖は半減し、ゆっくり
今、夢を見て目覚めたところから得体の知れない恐怖感を
感じた事まで言い終えるとすっかり気持ちが落ち着いていました。
「まあまた何かあったら起こせよ、俺は寝るぜ・・」
「ああそうだな、悪かったな起こして・・」
そんな会話を最後に同期は直ぐにまた眠りに入ってしまいました。
「気のせいにしてはスゴかったな・・」
そう思い返すとなんだか、あれ程怖がってしまった自分に照れさえ
感じながら自分も布団に入り視線を上に向けたその時・・・
ソイツと眼が合ったんです。

この話には随分ちゃちな脚色がされて、しばらくの間我が校の
後輩に伝わったみたいで自分自身、直接後輩から聞いた事があります。
最初はまさか僕がその当事者であるとは思わずに
話してたみたいですが、そんなふうに後輩の間には伝わって
いるんだなと思いました。
でもこの話しは、下手な尾ひれなど付けなくても充分というか
むしろ脚色してしまう事でリアリテイがなくなっているなと・・
本人である自分としてはどうしても、そう思ってしまいます。

僕と同居人が寝ていた部屋には押入があり、その押入の上方に
縦が40cmくらい、横幅が襖幅の収納スペ-スがありました。
押入に足を向ける形で寝ていた僕達は、仰向けになって
眼を開くと自然に押入の上の収納スペ-スに視線が向くんです。
そしてその中にソイツはいたんです・・・
たった40cm程しかない高さに平べったくなって、胡座をかいて
腕組をしてジッとこちらを見ている。
痩せギスの身体にはアバラがうきでて、やたら手足だけが長かった。
不思議なのは(ここまででも不思議ですが)そこの収納スペ-スの
小さな襖は閉まっているのに、その姿がハッキリ見えるんです・・。
サ-ッと血がひくという表現をよく聞ますが、この時は自分の体温が
急激に冷えていくような感じがしました・・
大声で叫ぶような種類の恐怖ではなく、妙に冷静に頭の中で
「そんな筈はない、そんな理由はない」
と、目の前の現実を懸命に否定しました・・そして
ガバッと布団をかぶってギュッっと眼をつぶったんです。

でもそれでも尚、ハッキリとソイツの姿は見えるです。
まるで襖も布団も僕の瞼もなくなってしまい、いや部屋そのものも
消えてしまったかのように、僕とそいつだけが空間に存在している
かのように・・・

覚えているのはここまです・・後から思えば僕は
                  気を失ったのだと思います。
次の日の朝は素晴らしい快晴で・・・
何度も声をかけたという同居人に起こされて僕は眼を覚ましました。
僕を形勢する細胞の一個々々までも眠っていたかのような
                       深い眠りでした。
実際この朝以来、現在に至るまで僕の人生の周囲には様々な
不思議な出来事がありますからそういう意味では
             生まれ変わったのかも知れません。

あまりに深い眠りだった為か、現実として受け止めたくないという
気持ちがそうさせるのか、僕は起こされた時点では昨夜の出来事など
まるで覚えてはいませんでした。
「おい、お前あれからは何ともなかったか?」
「・・・・・・・何が?」
「何がってお前・・夕べお前、俺を夜中に起こしただろ。ほら、
            何だかおっかねぇ夢を見たとか何とかよぉ」
同期の奴の言葉を最後まで聞かないうちに、一気に記憶が
        よみがえった時のあの恐怖は、今も忘れられないんです。

高砂の駅を降りて少し歩いてから踏み切りを渡ると、やがて道に突き当たり
そこを曲がったところに、ヒドク無愛想な店主のいる雑貨屋がある。
そこの斜め向に僕らのアパ-トはありました。
あのアパ-トでの出来事はあれから、何度も繰り返し誰かに話をしたり
時間が経過していく過程で、自分の中でどんどんリアリティが薄れ・・
自分自身、今ではあれが事実であったのかどうかも確信が持てない程
記憶は曖昧になってしまいました。
でも間違いなく現実に体験した事なのです。
以下は更に核心に触れていきますが、興味のない方は
すいませんがスル-してくだされば有り難いです。



同期と一緒に朝トレに向いながら、ふと気がついた事がありました。
「そういえば押入の上の収納スペ-スって覗いた事があったかなあ・・」
少し気にはなったが何かを考えながら出来る程、我が部の朝トレは
軽くなく・・しばしの間はそのことから頭が離れました。

朝トレからの帰り道、気になっていた事を同期に聞いてみた。
「おい押入の上って何が入ってるんだ?」
「そんなの知らんよ、アパ-ト入る時に片づけたのはお前だろ」
「そうだよな、じゃあもしかしたらまだ一回も開けた事ないかもなあ・・」
昨晩自分をジッと見つめていたアイツは、なぜあそこから見ていたんだろう。
それまで気にも懸けた事のないあの収納スペ-スが、入居以来未確認だった
事もあり当然ですが、確かめられずにはいられなくなりました。


アパ-トに戻ると先ず、朝食の用意なのですが、その間に
同居人である同期が例のスペ-スを確認しました。
「なんだこりゃあ・・・・」
という同期のヤツの声が台所まで聞こえてきたので
「どうしたぁ・・」
と自分も押入のある奥の部屋に入ってみました。
「ちょっと見てみろよ・・」
「何だよ、何があったんだよ・・」
同期が丸イスから降りたので、次は自分がイスにあがり中を覗くと
眼に入ったのは黄色に変色した新聞に包まれた、大きな箱でした。

スペ-ス一杯にギリギリおさまっている箱を見ながら
「何なんだろうな・・」
「何が入ってるんだ・・・」
と同期と二人で顔を見合わせましたが、意見は直ぐに一致しました。
「とりあえずは開けてみようか・・」
普段、紙に包まれた箱を開ける時などは包装紙をビリビリに
破ってしか開ける事のない自分が、この時は妙に慎重にゆっくりと
包みを開きました。
押入の上から下におろす時の手応えで、箱は随分しっかりしたつくり
のように感じましたが、古新聞の中から出て来たものを見て
我々二人は一瞬息を呑みました。
「仏壇だ・・・」

一般家庭の仏間に置いてある仏壇に比べれば、ひとまわりも
ふたまわりも小さくはありましたが、その外観はどう見ても
仏壇でした。
「中を開けてみろよ・・」
「う、うん・・・」
この時、この仏壇を開けるのが自分ではなくて同期の方だったら
またその後の展開はちがったのかもしれません。
この日以来、身の回りでそれまではあり得なかった出来事が次々と
起こるようになったのは、どうしてもこの事がキッカケであるとしか
思えないのです。
しかし、自分が古新聞の包みを開けた流れもあり仏壇らしき扉に手を
かけたのもやはり自分だったんです・・
この時、迂闊にも立てる事をせずに仏壇を寝かしたままで扉を
左右に開いてしまいました。
勿論この時はまだそれが後々、自分の胸の中につきささって来る事に
なろうとは思いもしなかったのですが・・・

カチャッ・・っと観音開きの扉を開けると、中央に寝かすように
置かれている仏像と眼が合いました。
その瞬間、一瞬その眼がカッと開いて私をニラみつけたような
気がして身体がブルッとふるえました。
「おぅわあぁああ!!」
と大袈裟にふるえたので同居人も驚いて
「おぉ!」と声を出し・・
「おどかすなよ、どうしたんだよ」
「ああ、悪い悪い・・・」
そう言いながらゆっくり、その仏壇ごと縦に立てて仏像も中央に
置いてみました。
立てて見るとその仏像は随分、下眼使いで正面からみても先ほど
のように視線が合う事はありませんでした。
「それにしてもさっきはビビッたなあ・・」

何となくその場に居て空気が重くなり、台所に戻ろうと思い
立ち上がった時に同期のヤツが仏壇の中をのぞき込んで
「ん、何か書いてあるなあ・・」と言うので、その場にとどまり
書いてある内容を同期が読むのを待ちました。
「ええっとぉ・・・」

『 決シテ意ヲ合ワセヅ合ワサセヅ
          決シテソノ眼ヲ合ワセヅ合ワサセヅ 』

背筋が冷たくなったなんてものではありませんでした。
自分はもう既に眼を合わせるどころか、あの眼で睨まれて
しまった後なんですから・・

普通に設置し仏壇が立っている中央に置くぶんには、余程下から
のぞき込まない限りは眼が合う筈のない仏像でありましたが
横置きにして開いてしまったが為に、しっかりその眼で私を
確認されてしまいました。
しかしだからといって、それがどうだというのか・・
    何があるというのか・・その時はまだ解りませんでした。
その時はまだ、切り開かれた新しい感覚がほんのちょっと働き
始めたばかりでしたから・・
それでもその、ほんのちょっと働き始めたばかりの感覚なりに
これから自分の身の回りに、何かしら異変が起こるような
予感はハッキリとしました。
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