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会いに来た
576 :本当にあった怖い名無し:2009/07/19(日) 07:10:36 ID:qf8+ERag0

私には大好きな祖母がいました。
幼い頃から私はダメ人間で、いつも祖母に心配ばかりかけていました。
「お前がしゃんとせな、ばあちゃん死んでも死にきれん」
祖母の口癖でした。




注目記事!






そんな祖母も私が働きだして何年か後に亡くなりました。
その後私は付き合っていた人に振られ、職も失い、軽い鬱状態になっていました。
どうしようもなく酷く落ち込んだ時、神様仏様じゃありませんが
「ばあちゃん、どうしたらいい?」
泣きながら亡くなった祖母に問いかける事もありました。

577 :本当にあった怖い名無し:2009/07/19(日) 07:12:17 ID:qf8+ERag0
ある晩私は物音で目を覚ました。

 コトコトコトコトッ コトコトコトコトッ

音は下階から、猫かなにかが走り回っているようでした。
私の住んでいるのは木造の安アパート、周りの音は筒抜けです。
「どうせ下の人がこっそり猫でも飼っているんだろう」
そう思い再び目を閉じました。

 コトコトコトコトッ コトコトコトコトッ

いつまで経っても足音は止みません。
それどころか音は段々と大きくなり、とうとう寝ている私の頭上を
右から左に走り回っているのではと思える程に。
私は只ならぬ気配を感じ、恐る恐る目を開けました。
目を開けると同時に音は止まりました。
部屋の中は街灯のせいで薄暗いながらも良く見えます。
私は目だけを動かし、先程まで音がしていた方を見ましたが何もありません。
そしてぐるりと部屋を見渡し、足元を見た途端ギョっとしました。

578 :本当にあった怖い名無し:2009/07/19(日) 07:14:08 ID:qf8+ERag0
誰かが布団の袖に座っていました。
若い女性、おかっぱの黒髪、
子供が着るような丈の短い、白地に赤い井裄絣模様の浴衣を着ていました。
俯き垂れ下がった横髪で顔は見えません。
こちらを見るでもなく、何か喋るでもなく、ただ正座したままじっとしています。
私は怖くなって頭から布団を被りました。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
何度も何度も謝りました。
何に対して謝罪しているのかさえ分からずに。
するとどこからとも無く

 コトコトコトコトッ コトコトコトコトッ

またあの音がまた聞こえてきました。

 コトコトコトコトッ コトコトコトコトッ

いつまでもいつまでも音は止みませんでした。

579 :本当にあった怖い名無し:2009/07/19(日) 07:16:41 ID:qf8+ERag0
それがどれ位続いたかは分かりません。
長かった様に思えましたが、実際は短かったかもしれません。
目を覚ました時には朝になっていました。
昨晩の事ははっきりと覚えていたのですが、
「夢だった」の結論で自分を納得させました。

それから暫くしてなんとか職に就き、
久しく行っていなかった祖父母の墓参りに出かけました。
ついでと言ってはなんですが、近くに住む叔父の家も訪ねました。
叔父は長男だった為、祖父母の仏壇があったからです。
仏壇に手を合わせた後、ふと床の間にあるガラスケースに目をやりました。
ケースの中身は福岡の伝統工芸博多人形でした。
微笑みながら片足を上げ手毬を打つ少女。
どこにでも在りそうな人形でしたが、私が驚いたのはその装い。
おかっぱの黒髪、白地に赤い井裄絣模様の浴衣姿でした。
夢に出てきた女性と全く同じ・・・

580 :本当にあった怖い名無し5:2009/07/19(日) 07:18:20 ID:qf8+ERag0
世間話の後、叔父に人形の事を聞いてみました。
「あれはばあさんの家取り壊した時に納戸から出てきたったい」
叔父の話によれば、
その昔、祖父が近所に住んでいた有名な陶師から貰ったとの事。
当時買えば結構な値段がしたらしく、祖父母は大事にしていたようでした。
「人形は気味が悪いけん、捨てるに捨てれんめーが」
叔父は笑って言いました。
私は覚えていませんが、幼い頃に見た記憶が夢に出てきたのかもしれません。
でも私は「祖母が叱りに来てくれた」そう思いました。

帰り際、もう一度仏壇に手を合わせました。

「ばあちゃん、心配かけてごめんね」



失礼しました



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